2025年5月、50人未満の事業場でもストレスチェックを義務化する法改正が成立し、職場のメンタルヘルス対策への関心が高まっています。実際の施行は公布から3年以内となる見込みですが、準備の重要性が注目されています。特に私たち医療従事者は、夜勤や緊急対応、患者さんとの関わりなど、独特のストレス環境の中で働いています。
こんにちは、診療放射線技師のharuhitoです。私は現在、2週間に1〜2回の夜勤をこなしながら日々の業務に取り組んでいます。医療現場で働く皆さんなら共感していただけると思いますが、夜勤明けの疲労感やストレスは、一般的な仕事とはまた違った重さがありますよね。
今回は、私が実際に試行錯誤しながら見つけた「夜勤明けのメンタルケア法」を7つご紹介します。完璧なストレス管理を目指すのではなく、少しでも心が軽くなる方法を一緒に見つけていきましょう。
医療従事者が抱える現実的なストレス要因
医療現場で働いていると、「医療従事者だから大変でしょうね」とよく言われますが、実際のストレス要因は意外と一般企業と共通する部分も多いんです。
職場での人間関係が最も大きなストレス源の一つです。医師、看護師、技師間での意見の相違や、同じ職種内での仕事に対する価値観の違いは、どこの職場でもある話かもしれません。ただ、医療現場では患者さんの安全が最優先のため、意見がぶつかったときの緊張感は特別なものがあります。
患者対応の難しさも診療放射線技師特有のストレスです。救急外来で「痛いのはわかりますが、検査のためにじっとしていてください」とお願いしても、理解してもらえないケースがあります。患者さんの気持ちもよくわかるだけに、板挟みになることが多いんです。
そして夜勤による生活リズムの乱れ。これは避けて通れない課題ですね。身体的な疲労はもちろん、家族や友人との時間のズレ、社会との微妙な孤立感も感じることがあります。
これらのストレスは決して特別なものではありませんが、積み重なると確実に心と体に影響を与えます。大切なのは、ストレスを感じる自分を責めるのではなく、「当然のこと」として受け入れた上で、適切にケアしていくことです。
夜勤明けメンタルケア法7選

① 帰宅後すぐの「15分デジタルデトックス」
夜勤明けに家に帰ると、ついスマホでSNSやニュースをチェックしたくなりませんか?でも、これが実は心をさらに疲れさせる原因になっていることに気づきました。
実践方法:
- 帰宅したらスマホを別の部屋に置く
- 15分間、何も情報を入れない時間を作る
- 窓を開けて新鮮な空気を吸う、またはただ座って呼吸に集中する
この15分間で、夜勤中に受けた様々な刺激から脳を解放してあげます。最初は「時間がもったいない」と感じるかもしれませんが、この後の休息の質が明らかに変わります。
② モーニングページで心の整理
これは「ずっとやりたかったことをやりなさい」という本で知った方法で、私のメンタルケアの核となっています。朝(夜勤明けの場合は帰宅後)に、頭に浮かぶことを3ページ分、手書きで書き出します。
具体的なやり方:
- A4用紙3枚(またはノート3ページ)を用意
- 「今思っていること」を何でも書く
- 文章になっていなくても、愚痴でも何でもOK
- 誰に見せるものでもないので、完全に自由に
夜勤中の出来事、感じたストレス、心配事、明日の予定…何でも書いていると、頭の中がスッキリ整理されます。感情を言葉にすることで、漠然とした不安が具体的になり、対処しやすくなるんです。
③ 軽い運動で体をリセット
夜勤明けは疲れているから動きたくないと思いがちですが、軽い運動は意外と効果的です。私は登山が趣味ですが、夜勤明けにいきなり山に登ることはありません(笑)。
おすすめの軽運動:
- 10分程度の散歩(近所を一周するだけでもOK)
- 室内でできる簡単なストレッチ
- ヨガの太陽礼拝(YouTubeを見ながらでも)
- 階段の上り下り
血行が良くなり、夜勤中に凝り固まった体がほぐれます。何より、「体を動かした」という達成感が心にも良い影響を与えます。
④ 質の高い睡眠環境を整える
夜勤明けの睡眠は、通常の夜の睡眠とは全く違います。日中に眠るため、環境づくりがとても重要です。
睡眠環境のコツ:
- 遮光カーテンで部屋を真っ暗にする
- 室温を少し低めに設定(22-24度程度)
- 耳栓やアイマスクの活用
- スマホは別の部屋に置く
- 就寝前1時間はカフェインを避ける
質の良い睡眠がとれると、起きた時の心の状態が全然違います。投資だと思って、睡眠環境には少しお金をかけても良いかもしれません。
⑤ 好きなことで心を満たす時間
ストレス発散というと激しい運動やお酒を想像しがちですが、私は「心を豊かにする」時間を大切にしています。
私が実践していること:
- カメラを持って近所を散歩
- 美術館や博物館巡り
- お笑い番組やコメディ映画鑑賞
- 読書(特に哲学書やエッセイ)
これらは激しい刺激ではなく、むしろ心を穏やかにしてくれます。特に美しいものに触れる時間は、医療現場の緊張感とは真逆の体験として、とても効果的です。
⑥ 適切な食事とお酒との付き合い方
正直に言うと、以前はお酒や食べ物でストレスを発散していた時期がありました。その場しのぎの効果はありますが、根本的な解決にはならず、むしろ体調を崩す原因になることもあります。
改善した方法:
- お酒は週末など特定の日に限定
- 夜勤明けは消化に良いものを選ぶ
- 水分補給をしっかり行う
- 栄養バランスを意識した食事
- ストレス食いの代わりに散歩やお茶の時間
食事とお酒は楽しみの一つですが、「発散手段」としてではなく、「生活を豊かにするもの」として付き合うように意識を変えました。
⑦ 同僚や友人との適度なコミュニケーション
医療現場のストレスは、同じ環境で働く人にしかわからない部分があります。でも、職場でストレスの話ばかりしていると、余計に疲れてしまうこともありますよね。
バランスの取り方:
- 仕事の愚痴は信頼できる同僚1-2人に限定
- 職場以外の友人との時間も大切にする
- 医療従事者同士の支え合いを意識する
- オンラインコミュニティの活用
- 完全に仕事と離れた話題の時間も作る
一人で抱え込まず、でも依存しすぎず。適度な距離感でのコミュニケーションが、長期的なメンタルヘルスには重要だと感じています。
普段から実践したいストレス予防法

夜勤明けのケアも大切ですが、普段からストレスを溜めすぎない「予防」も重要です。
私が継続している習慣:
毎日のモーニングページ 夜勤の日もそうでない日も、可能な限り続けています。たった15分でも、心の整理ができると一日の始まり方が変わります。
定期的なデジタルデトックス 週に1回、最低でも2時間はスマホから離れる時間を作っています。その時間で散歩をしたり、読書をしたり、自分と向き合う時間にします。
趣味時間の確保 どんなに忙しくても、月に数回は好きなことをする時間を確保します。カメラを持って出かけたり、美術館に行ったり。これは「贅沢」ではなく「必要な投資」だと考えています。
小さな習慣の積み重ねが、大きなストレス要因に直面した時の「心の体力」を作ってくれると実感しています。
2025年ストレスチェック制度で何が変わる?
2025年5月に成立した法改正により、公布から3年以内(最長2028年まで)に50人未満の事業場でもストレスチェックが義務化される予定です。これまで対象外だった小さなクリニックや診療所でも実施されることになります。
制度変更のポイント:
- より多くの医療従事者がストレスチェックを受けることになる
- 職場のメンタルヘルス対策への意識が高まる
- 個人のストレス管理スキルの重要性が増す
私たちができる準備:
- 自分なりのストレス管理方法を確立しておく
- ストレスチェックの結果を活用する意識を持つ
- 職場でのメンタルヘルス対策に積極的に参加する
制度が変わることで、これまで以上にメンタルヘルスについて考える機会が増えます。この機会を活用して、より働きやすい医療現場を作っていきたいですね。
まとめ:小さな習慣が大きな変化を生む
夜勤明けのメンタルケアと聞くと、何か特別なことをしなければいけないと思いがちですが、実際は小さな習慣の積み重ねが最も効果的です。
今回ご紹介した7つの方法も、完璧にすべてをやる必要はありません。まずは一つでも「これならできそう」と思ったものから始めてみてください。
私自身も試行錯誤の連続で、今でも完璧にできているわけではありません。でも、以前と比べて確実に心が軽くなり、仕事にも前向きに取り組めるようになりました。
医療現場で働く私たちは、患者さんのために日々頑張っています。だからこそ、自分自身のケアも大切にして、長く健康的に働き続けられるようにしていきたいですね。
みなさんも、ご自身に合ったメンタルケアの方法を見つけて、一緒に充実した医療人ライフを送っていきましょう。
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