はじめに – 忙しさに押しつぶされそうな日々
「今日も残業で終電」「週末も仕事のことで頭がいっぱい」――そんな日々を過ごしていませんか。現代の社会人の多くは、仕事に追われ、自分自身を見失いかけています。創造性?そんなものはアーティストの専売特許だと思っていました。
そんな時に出会ったのが、ジュリア・キャメロンの『ずっとやりたかったことをやりなさい(The Artist’s Way)』です。本書を読み、モーニングページを実践し始めてから、私の心には少しずつ余裕が生まれ、不思議と仕事も効率的にこなせるようになりました。
本書の概要 – アーティストでなくても創造性は必要
ジュリア・キャメロンは、映画監督、脚本家、詩人として活躍する中で、多くのアーティストの創作の行き詰まりを解決してきました。本書『The Artist’s Way』は、彼女が編み出した12週間のプログラムをまとめたもので、1992年の出版以来、世界中で読み継がれています。
タイトルに「アーティスト」とありますが、本書の核心は「すべての人間は創造的である」という考えです。創造性とは、絵を描くことや音楽を作ることだけではありません。問題解決、企画立案、人間関係の構築――すべてが創造的な活動なのです。
忙しい社会人こそ、この創造性を解放することで、仕事もプライベートも充実させることができる。それが本書の主張であり、私自身の実感でもあります。
モーニングページ – 3ページの魔法
本書の中心となるツール「モーニングページ」は、驚くほどシンプルです。毎朝起きてすぐ、ノートに3ページ、思いつくままに書く。ただそれだけです。
実践方法
- 朝起きてすぐ、他のことをする前に
- ノートに手書きで
- 思いつくままに3ページ書く
- 誰にも見せない
- 内容は何でもよい(不平不満も、意味不明な言葉も)
最初は「朝の貴重な時間にこんなことを…」と思いました。しかし、続けるうちに変化が現れました。頭の中で渦巻いていた不安や心配事が、紙の上に吐き出されることで、不思議と整理されていくのです。まるで、脳内の大掃除をしているような感覚です。
私のように忙しい社会人でも、15分早く起きるだけで実践できます。「時間がない」という言い訳は、自分自身を直視することを避けているだけかもしれません。
アーティストデート – 自分への小さな贈り物
もう一つの重要なツールが「アーティストデート」です。週に一度、自分一人で、創造的な活動や体験をする時間を作ります。
実践例
- 美術館や博物館を一人で訪れる
- カフェで人間観察をしながらスケッチをする
- 普段行かない街を散策する
- 書店で興味のある本をじっくり探す
- 自然の中を歩く
「一人で?」と抵抗を感じる方も多いでしょう。現代人は常に誰かとつながっていることに慣れています。しかし、この「自分だけの時間」こそが、創造性を取り戻す鍵なのです。
私は月に2回、カメラを持って街を歩くことをアーティストデートにしています。普段は通り過ぎる風景も、カメラを持つと違って見えます。この習慣は、仕事での新しいアイデアを生み出す源泉にもなっています。また、美術館にも足を運ぶようになりました。
忙しい社会人のための実践提案
「理論は分かるけど、現実的には…」という声が聞こえてきそうです。確かに、毎日モーニングページを書き、週に一度アーティストデートをするのは、簡単ではありません。しかし、いくつかの工夫で十分に実践可能です。
時間がない中での工夫
- モーニングページは1ページから始める
- アーティストデートは30分でもOK(昼休みに近所を散歩するだけでも)
- 完璧を求めない
継続のコツ
- 習慣化のためにリマインダーを設定
- 効果をメモしてモチベーションを維持
- 仲間を見つける(SNSで #モーニングページ などで検索)
期待できる効果
- ストレスの軽減
- 集中力の向上
- 新しいアイデアの創出
- 仕事の効率アップ
- ワークライフバランスの改善
まとめ – 今こそ創造性を取り戻す時
『ずっとやりたかったことをやりなさい』は、単なる自己啓発本ではありません。現代社会で失われがちな「自分自身との対話」を取り戻すための実践的なガイドブックです。
特に現代の忙しい社会人にとって、本書のメソッドは単なる趣味やリフレッシュの手段を超えた、仕事と人生を豊かにするツールとなるでしょう。
「時間がない」「自分には創造性なんて…」という思い込みを捨て、まずは明日の朝、1ページのモーニングページから始めてみませんか。その小さな一歩が、あなたの人生を大きく変えるかもしれません。
本記事で紹介した書籍 『ずっとやりたかったことをやりなさい』(The Artist’s Way) 著者:ジュリア・キャメロン